教職員の75%「発達障害は増加傾向」 宇大・本社合同の初の全県調査/栃木
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20110113/441809
自閉症や学習障害などの発達障害をめぐり、下野新聞社と宇都宮大教育学部は13日までに、県内すべての保育園、幼稚園、小中学校(通常学級)、高校、大学計約1200園・校を対象に本県初の実態調査をアンケート方式で実施した。発達障害の診断を受けたり、教職員がその疑いがあると判断した児童や生徒について、回答した約7割が「増加傾向」と答えた。診断や疑いのある児童や生徒の割合が1割以上だった園・校も計104に上り、発達障害への対応が教育現場の差し迫った課題になっている現状が浮き彫りになった。
「診断や疑いのある園児・児童・生徒・学生は増加傾向か」との設問に「はい」と答えたのは保育園81・8%、幼稚園69・1%、小学校82・3%、中学校78・1%、高校29・2%、大学50・0%。総計では74・5%になった。
取材班と共同研究する同学部の梅永雄二教授(54)=特別支援教育=は「かつては『変わった子』などと言われるだけで見過ごされてきたケースに日が当たるようになったのだろう」と分析する。
発達障害に関連した教育や福祉をめぐり、2005年4月に発達障害者支援法が施行されたほか、07年度から特別支援教育が始まった。特別支援教育は、身体障害や知的障害という特殊教育の対象に発達障害も加えた。特に特別支援学級のある小中学校で発達障害の問題意識が高まりつつあるという。
診断や疑いのある園児や生徒の在籍率が1割以上と答えた計104園・校のうち、幼・保が55園(53%)、小中学校44校(42%)、高校は定時制・通信制を中心に5校(5%)。大学はゼロだった。
一方、園・学校種別の平均在籍率は保育園7・5%、幼稚園4・2%、小学校5・4%、中学校4・3%、高校1・2%、大学0・3%となった。
梅永教授は「園・学校側が研修などを通じて専門性を高め、特別支援教育というよりは、さまざまな特性を認め合う個別支援教育を進める必要がある」と提言している。