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発達障害者就労つまづき、相談急増…福井

【2010/11/24付 読売新聞より引用抜粋】

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20101124-OYT8T00494.htm

 発達障害のある人を支援する福井県発達障害児者支援センター(スクラム福井)への相談件数が年々増えている。

 昨年度は就労関係が急増し、前年度の37人から123人となった。就職活動がうまくいかなかったり、就職先でトラブルになって辞めたりしたケースが目立つという。発達障害者支援法が施行されて5年半。社会での障害に対する理解が十分に進んでいないという課題が見えてきた。就労を視野に入れた長期的な教育、具体的な支援策が求められている。(青木さやか)


 発達障害とは、人と意思疎通がうまくできない自閉症やアスペルガー症候群、読み書きや計算の習得が困難な学習障害(LD)、衝動的に行動しがちな注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、幼少期から現れる先天的な脳の障害と定義づけられている。


 同支援センターによると、全体の相談件数は07年度1295件、08年度3962件、09年度4114件。このうち、就労の相談は、07年度が延べ62件で6人、08年度同216件で37人。09年度は、全体の約3割にあたる1294件、123人から相談を受け、就職・再就職に結びついたのは17人だったという。


 職場の悩みは、「コピーを失敗した時にできる文字のゆがみに気づけない」「複数の仕事を任せられた時に優先順位を決めて段取りを立てることができず、パニックになる」「分からないことを他人に聞くことができない」などが多く、社会生活の基本的なところでつまづくケースが後を絶たない。


 学校や家庭では周囲の理解があって問題にはならかったことが、いったん社会に出ると、「なまけている」「社会人としての自覚が足りない」などのレッテルを張られてしまう。


 福田晋介・同支援センター長は「“つまづき”は訓練、反復練習で克服できることが多い。発達障害を理解する人が職場にたった一人でもいれば、就労の課題は乗り越えられる。しかし、不況による人員削減で労働に効率や速さ、即戦力が求められる時代。のんびりと見守ったり、指導したりできないのが現状」と話す。



 そんな中、発達障害児の親らでつくる市民グループと企業が力を合わせることで、仕事を続けている事例がある。幼少期に発達障害と診断された福井市内の20歳代の男性。大学卒業後、県内で就職したが、電話の受け答えがうまくできず、外線の取り次ぎを任せてもらえなかった。目を見て相手と話せなかったり、人前で平気で鼻をかんだりして従業員との人間関係もうまく築けなかったという。職場の上司は、市民グループのメンバーに相談しながら、男性に職場での問題点を丁寧に説明。男性も、指摘されたことを書きだしながら振り返るという作業を繰り返し、一つずつ克服している。


 学習塾やスポーツ教室を設立するなど、20年以上、発達障害児の支援活動に取り組む三橋美典・福井大教授は「小・中学校での発達障害に対する理解や支援態勢はずいぶん整った。しかし、就労を視野に入れた教育がなされていなかったのが実情で、就労時に突然、大きなつまづきを経験する人が多い」と指摘。「仕事の段取りや能率の良い進め方を学んでもらうなど、発達障害児向けのキャリア教育が必要」と話している。


 福田センター長も問題点を踏まえ、▽発達障害者向けの職業訓練施設の充実▽雇用側の理解の促進▽障害の特徴を理解する産業医ら専門家の配置――などを、今後の課題として挙げる。


 発達障害者支援法は第十条(就労支援)で、県に対して「適切な就労の機会の確保」、県と市町に「学校で就労のための準備」などを明確に規定している。法に従って、現状の課題に一つ一つ取り組んでほしい。

<県発達障害児者支援センター> 発達障害者支援法に基づき、2006年10月に設立された。敦賀、福井、大野各市に相談窓口を置き、スタッフ6人が、発達障害を持つ子どもの親からの教育に関する相談や、支援計画の策定、障害に対する啓発活動などの支援を行っている。


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