【2011/2/9付 毎日新聞より引用抜粋】
http://mainichi.jp/life/edu/news/20110209ddm013100008000c.html ◆障害者への消費者教育の重要性が高まっています。
◇断る力つけ自分を守る 相談できる人挙げて/周囲も気づく力必要
知的障害や発達障害のある人を狙った悪質商法などが横行している。企業で働き、地域で生活する障害者が少しずつ増えている今、お金の使い方やだまされない知恵を身につけることは大切だ。社会に出る前に何を学べばいいのか。
昨年12月、東京都港区の都立港特別支援学校。高等部3年生9人の前で、区内で消費者問題推進員を務めるボランティアたちが寸劇を始めた。
「ゲームが安いよ! 普段は8000円だけど、今日は5000円でお得だよ」。下校中の生徒役にビデオショップの店員役が声をかける。生徒は「お金がない」と答えたが、店員は「ここに名前と住所を書けば大丈夫」と用紙を差し出した。
ここでボランティアが「こんな時どうしますか」と質問。生徒たちは数字の書いた札を渡され、「名前などを書く」と思う人は(1)、「家族に相談する」人は(2)を上げた。
正解は(2)だが、(1)を選んだ生徒も2人。「えー、そうなの?」と間違えた男子生徒が声を上げた。ボランティアが説明した。「お金を払わなくても名前を書いたら買うことになります。高額の物を買うときは家族と相談しましょう」。その後は「いりません、帰ります」と断る練習を繰り返し、若者を狙ったデート商法などの手口も学んだ。
見知らぬ男性に「付き合って」と言われ待ち合わせしたことがあるという女子生徒(18)は「私こういうの、ひっかかりやすいから危ない。いい勉強になった」。男子生徒(18)は「とにかく誰かに相談するのが大事」と納得した表情だった。
授業を受けたのは、企業就職を目指す生徒たち。同校は3年前から区立消費者センターと連携した消費者教育を始めた。家庭科の長谷川祐子教諭(54)は「就職すればこれまでとケタ違いのお金を手にする。その前に自分を守る知識を身につけてほしい」という。
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国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた認知症高齢者や知的障害者ら「判断不十分者」からの相談は、00年度の4067件から09年度は1万370件と2・5倍に増えている。
こうした人たちが被害に遭いやすいのは、きっぱり「嫌だ」と言うのが苦手だったり、先を見通せないなどの障害の特性と関係がある。だまされたことを自覚していなかったり、他人にうまく説明できないため、被害が潜在化しやすく、自分で解決のための情報を得ることも難しい。
障害者福祉に詳しい白梅学園大の堀江まゆみ教授(52)は、特別支援学校での授業を「親元を離れる前にお金や消費者被害について教えることはとても有意義」と評価する。
実効性のある取り組みとして堀江教授がすすめるのが「相談する人自慢大会」。家族やグループホームの世話人、仕事場の上司など相談できる人の名前をあらかじめ挙げておき、困った時にすぐに思い出せるようにするのだという。実際、このワークショップに参加した知的障害の男性がキャッチセールスで契約させられた直後に「いま契約しちゃった」と周囲に助けを求め、被害を食い止められた事例もあるという。「教えれば絶対に自分で被害に気づけるようになる」と堀江教授。
ただし「本人がどれだけ気をつけても被害に遭うことはある。周囲の人たちが被害に気づく力を身につけることも大切」。地域に住む障害者と支援者、住民が一緒になり、障害の特性や消費者被害の現状について学ぶ必要性を訴える。
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教材や資料は多くないが、最寄りの消費生活センターなどで探すことができる。
NHK厚生文化事業団が作った3巻のDVD「知的障害や自閉症等のある人たちをトラブルから守る」は障害者に加え支援者や相談員も対象にしている。専門家が被害に遭いやすい障害特性を説明し、だましの手口が分かるドラマ、地域でのワークショップの進め方も網羅している。
東京都消費生活総合センターは昨年、DVD「断るチカラの磨き方」を最近の手口に沿った内容に改定した。高校卒業後、レストランや事務の仕事で働き始めた男女が架空請求やマルチ商法に遭うドラマを収録。また、ネット上で、ゲーム感覚で学べるウェブ読本「ハカセといっしょに消費者の時間へGO!」も作成。クーリングオフなどの被害回復法も紹介している。
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