教員免許更新制、早くも暗雲? 定員割れ講習が続出
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教員の指導力向上を目的に今年度から始まった「教員免許更新制」の先行きが、早くも危ぶまれている。免許更新のための講習を実施する大学側が「定員割れ」を理由に、次々と講習中止を決めたからだ。
定員割れは専門性が高い講習で特に深刻で、「学問」重視の大学側と「現場対応」重視の教員側のニーズとのズレに、講習内容の見直しを求める声が出ている。
文部科学省によると、教員免許更新講習を実施するのは計510大学。このうち通信制を除くと、最新の教育政策などを学ぶ「必修領域」の実施は315大学901講習、教科ごとの指導法などを学ぶ「選択領域」の実施は496大学8540講習にのぼる。
だが、文科省の5月末時点のまとめでは、定員に対する申込者数は必修領域が約6割、選択領域が約4割で、大幅な定員割れ。39大学が申込者がゼロや10人以下だったとして、選択領域の228講習を中止した。
横浜国立大(横浜市)では、当初は申込者が1人でも講習を実施する意向だったが、経済情勢から方針を転換。104講習のうち約1割の申込者5人以下の講習については、別の授業に振り替えてもらうなどして中止する。今後もこうした大学が増える見込みだ。
中止が決定した講習で目立ったのは「素粒子物理学の発展」(弘前大)や「社会科に関する学問の歴史」(群馬大)など、専門性が高かったり特定教科に特化したもので、申込者はゼロ~数人。これに対し、カウンセリングや発達障害など、教員が教育現場で対応を迫られている講習は、定員の9割を占めるほどの好調ぶりだという。
「部活や生徒指導で多忙な中で受ける講習は、現場ですぐに実践できるものでなければ意味がない」と都内の教員関係者。
こうした教員ニーズに、岩手県教育委員会がいち早く対応。同県教委は昨年秋、岩手大(盛岡市)など5大学を中心に構成する更新講習協議会を離脱し、「小中学校や高校など学校種別、年代別にカリキュラムを提供すべきだ」として、現職校長らを講師に迎えた県独自の更新講習「授業力向上研修」を設置した。受講は無料、交通費も公費負担という。
この影響をもろに受けたのが岩手大で、定員1000人に対し、申込者はわずか52人。同大の講習の大半は人気が低いとされる「教科に特化した内容」だが、教育学部の遠藤孝夫教授は「長期的にみて役に立つ内容も更新講習には必要」として、実践偏重の流れに異議を唱える。
教員の指導力について詳しい都留文科大の宗内敦名誉教授は「指導力の定義をめぐり、教員と大学側で大きな違いが出ている」と指摘。その上で「授業科目に力を入れずに、付け焼き刃でカウンセリングなどを学んでも指導力向上にはつながらない。教員側の意識改革を行いながら再度、講習内容の見直しが必要かもしれない」と話している。
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教員免許更新制 教員免許法の改正により、10年ごとの免許更新を義務づけた制度。対象者は大学などで計30時間(5日間)以上の講習を受ける。認定試験で60点未満の場合は不合格で、2年以内に再講習、再試験で合格しないと免許が失効する。同制度は民主党が抜本的な見直しを主張、自民党は着実な実施で教員の質向上を図るとしている。




