【2010/8/10付 読売新聞より引用抜粋】
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=29101
医療機関が試み
知的障害、発達障害を持つ人とその家族にとって、病院などでの受診は悩みのタネ。症状がうまく伝えられるか、待ち時間を我慢できるか、好奇の目で見られないか……など様々な不安がつきまとう。こうした心配を軽減しようという試みが、医療機関側でも始まっている。
「小学校3年から中学校3年まで、私はこの子を一度も歯医者に連れて行けなかった」
三重県鈴鹿市に住むAさん(54)はそう悔やむ。知的障害の息子(29)が幼かった頃は、嫌がっても、一般の歯科で治療ができた。しかし、だんだん力が強くなり、暴れて治療機器をけとばすことも。周囲の目が気になり、通院をやめてしまった。
知的障害や自閉症などの発達障害を持つ人らにとって難題なのが、医療機関の受診だ。本人によるコミュニケーションが難しい上に、暴れて診察できなかったり、順番を待てなかったりとつらい経験もするため、受診に消極的になるケースが少なくない。
歯科連携
こうした受診への不安をなくす医療側の取り組みが始まっている。
Aさん親子が6年間の空白の後にたどり着いたのが、三重県歯科医師会が開設している障害者歯科センター(津市)。個々の障害に応じ、時間と人数をかけて治療する。不安を除くために、治療前に見学してもらったり、器具をよく見てもらったりといった工夫もする。
患者は県全域から訪れ、2008年度は延べ1800人を超えた。同センターだけでは対応が難しく、県歯科医師会は今年、開業医を募って「みえ歯(は)ートネット」を結成した。地域の開業医が障害者の治療を積極的に行い、状態によって同センターに紹介する連携システムを目指す。参加医療機関は120を超え、障害者治療に関する研修も行う。常務理事の中井孝佳さんは「遠方から通っていた患者さんの負担が減り、予防や健診にもつながれば」と意欲的だ。
全国的には、日本障害者歯科学会が認定医制度を設けるなどの取り組みがある。千葉県自閉症協会長で脳外科医の大屋滋さんは「歯学部には障害者歯科の講座もある。ただ、これに比べ、他の診療科は遅れている」と指摘する。
大屋さんらが発達障害者と家族に実施したアンケート(回答数374)によると、「受診して困った診療科」の最多は歯科で148。続いて、耳鼻咽喉(いんこう)科145、内科109の順だった。
ただ、診察時の対応では評価が分かれる。「良い対応」の最多は歯科の129で、耳鼻咽喉科は42。「悪い対応」の最多は耳鼻咽喉科の71で、歯科は48。「良い対応」から「悪い対応」を引いた数値は、歯科の81が最高で、内科22、小児科10と続き、外科、眼科、耳鼻咽喉科などはマイナスだった。
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